★チョイス大賞展に思うこと。

今年も玄光社イラストレーション誌主催チョイス大賞展とNIC企画展の共同イベントが行われました。



http://nic-illust.blogspot.com/2010/05/nic.html

「ザ・チョイス」は既に20数年の歴史を持つイラストレーションのコンペ。
日本で一番人気の新人イラストレーター登竜門となっていて、現在第一線で活躍する多くのアーティストを排出してきています。

そうした新人達の作品と現役プロたち(NIC:名古屋イラストレーターズクラブ)の作品を同じ空間で鑑賞出来るのは、唯一ここセントラル・アートギャラリーで行われる展覧会だけなのです。

会場をめぐると誰もが感じることでしょうが、どう見ても、チョイスの作品の方が面白いしインパクトがあります。明らかにチョイス作品とNIC作品は毛色が違うのです。作品サイズや展示方法も影響していることもあるでしょうが、原因はそこではないようです。

イラストレーションにおいて、
プロとそうでない人の違いはなんなのでしょうか?

原因は作品に対する姿勢そのものが違うからに他なりません。

ひとつは、制約のない一過性の絵とそうでない絵の違い。
プロたちの絵は、自分のバッティングスタイルの明示とその打率アベレージをメインに主張します。対してチョイスの作品は、ここ一発ホームランを狙った大振り作品。まだ自分のバッティンフォームを求めさまよい、継続的な打率を計算するどころではありません。制約のない自由な表現には、エネルギーだけは満ちているわけです。

もうひとつは、非常にローカルな見方なのですが、
NIC作品の多くが「広告」分野を意識した作品が主勢であることも原因です。
チョイス作品の多くは感性に依存したもので、これはおそらくエディトリアル分野での使用をイメージしているからだと思われます。
日本のエディトリアルイラストレーションは表現間口が広いのが特徴で、広告イラストレーションとは明らかな違いあるものとなっています。


日本のイラストレーション界は、間違いなく「ザ・チョイス」が牽引役となり変化してきました。
今そこに特徴つけられるのは、感性に多くを依存したイラストレーション表現のみがブラッシュアップされ、それが主流になってしまっていること。
そこは、浮き沈みが激しくスーパーヒーローが育ちにくい環境です。
スーパーヒーローがいない分野は、次第に萎縮していくでしょう。
現に、チョイス応募の作品にもスケールを感ずる人が段々いなくなっていますし、残念ながら今回の大賞展にもいません。

スーパーヒーローを作り出す環境を作ることは簡単ではありません。
イラストレーションの業界も「出てくるのを待つ」受身の姿勢では将来はないでしょう。描き手の確固たる世界観とスキルにスポットを当てた専門のイベント・システム・養成機関等の普及はひとつの手段と言えます。

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