☆松山孝司展に見る、車と人物のデフォルメ描写。

漫画家という職業は、イラストレーターと限りなく近い存在ではありますが、
作品の着地点が違います。
そして、決定的に違うのは、人物の描写力。


先日、トヨタ博物館内の、アートギャラリーで開催されていた、
イラストレーター「まつやまたかし展」に行って参りました。


松山さんとは、面識がありませんでしたが、
facebookの知人を通じて繋がり、情報を得ておりました。


松山氏は、かの鳥山明氏のアシスタントを10年努め、
鳥山ワールドの背景画を支えたきた方。
またその昔、様々なコンテスト荒らしで有名だった
フィギア造形師コンビ「松山兄弟」の弟さん。
この事実は知りませんでした。


展覧会のメインは、
松山氏が長年担当しているカー雑誌「Daytona」の1ページ「シネマプラス」のシリーズ。
映画に出てくる車を紹介した作品70数点がメイン。


松山氏(左)と

車というものは、静物モチーフの中では、実はかなり難しい存在です。
微妙になだらかかつ複雑なボディライン&ボリューム、

タイアの形状、フロントグリル回り・・・
トレースではなく、ちゃんと車をデフォルメ描写できることは、
絵描きのスキルレベルの指標にもなります。


また、細かなドローイングの人物描写も、松山氏の得意とするところ。
鳥山ワールドの背景画で鍛えあげられたスキルは本物です。
細かな人物を、バランスよいプロポーションでデフォルメ描画できることも、
車を描くことと同様に、スキルレベルの指標になります。


車と人物。
この2つの難しいモチーフを、上手くデフォルメドローイング出来れば、
後はなんでも描けてしまうといってもいいでしょう!


その意味で、人物や背景画を日々描きつづける漫画家というのは、
表現間口の広いイラストレーターとは、スキルレベルで一線を画しますね。
(漫画スタイルにもよるけど・・・)


松山さんと、そのあたりの話もさせて頂きましたが、
彼は、鳥山明氏を通じて漫画の世界を見て、漫画家になることを諦めたそうです^^;
全くもって、頷けますね。







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