☆ノーマン・ロックウェルをリスペクト

表向きちょっと気取ったカフェなんかで、香り高い珈琲に鼻を高くした瞬間、視界の端っこに色褪せたヒロ・ヤマガタ、トーマス・マックナイト、カシニョール、カトラン、ビッフェのアートポスターなんかを見つけた折には、それまでの珈琲が一挙に冷めた番茶に成り下がる時が今でもたまにある。選んだのが、オーナーか店長か知らないが、装飾用の絵に気をくばることの出来ない店に用はない。



しかし、唯一僕のかなで色褪せたポスターになっても許せる作家がいる。ちょっとした、英国風居酒屋やアメリカンバーっぽい雰囲気のする店を訪れると、かなりの確率で彼の作品にお目にかかれる。もともと渋い色合いの絵なので、色褪せたり黄ばんだりしていても、彼の絵の場合、意外に気にならない。

彼の名は、ノーマン・ロックウェル
アメリカの国民的現代画家で、かつてTime紙などの表紙を飾り、イラストレーターという職業の礎を築いた人と言って良い。

モデルを使わずに写真を見て描く画家もいるんだ!と僕を驚かした人物で、人物の動き・表情・デフォルメ・色・タッチや、雑誌の表紙としての画面構成・メディア媒体にイラストとして必要なエッセンスなど、多くを彼の絵から学んだ。

テレビドラマの中とは違う、古き良きアメリカを僕ら教えてくれた人。未だに彼の描写力には遠く及ばないけれど、5本の指に入るリスペクト作家である。

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