☆寄藤文平氏のラクガキ。

遅まきながら、2009年発行のグラフィックデザイナー:寄藤文平氏の本を手に入れた。「ラクガキマスター」この本、何気にけっこう凄いです。





寄藤文平氏を一気に有名にしたのは、
JTの大人たばこ養成講座」のグラフィックデザイン&イラストレーション。


スミ(黒)線画(本人によると基本的にシャーペンの線らしい)に、
イエロー(Y100%+M20%くらいか)ベタのシンプルなイラスト。
これが、実に印象的。
正直、この手の図解的イラストレーションは昔からあるし、
イラストレーターでなくとも描ける存在だ。

じゃ何が氏の「ラクガキ」をメジャーにしたか。

●まず、一つはイエロー1色での表現。

従来までは、この手のイラストをイエロー1色(スミを除いて)だけで
表現することは、印象が薄くなりがちなのでご法度だった。
氏は、このご法度を逆手にとって、
自分のブランドカラーとしたのである。
やったもん勝ちですね!

●もうひとつは、「ラクガキ」のルール付け。

氏のイラストレーションは、御世辞にも上手いとはいえない。
単体では恵比寿能収氏のマンガに匹敵するほどの表現力だ。
もちろん、これも意図的?なものであろう。

単体では存在感を発揮しないラクガキでも、
一定のルール(コンセプトといってもいいかな)の元に描き、
描き文字を加え、集合体で見せることで、
ラクガキからイラストレーションへと昇華する。
ラクガキにグラフィック的脚色をしているわけだ。



絵の上手い(デッサンのしっかりしている)イラストレーターは、
絵だけで表現出来てしまう。
それが足りない人は、
何かでそこを補って脚色しないとモノにはならない。
寄藤氏は、そういう自分のこと非常に理解しているのだと思う。

ちょっとテイストは違うけど、
イラストレーターの唐仁原教久氏は、
また違う観点からそこを補っていますね。
「唐仁原さんのテクニック」




さて、
氏の著作本「ラクガキマスター」には、
このラクガキのルール付けが面白おかしく、
しかも詳しく解説されている。



イラストに興味のない人には、
???と地味な内容のように感じるだろうが、
その内容たるやイラストを描くことの重要なポイントを
実に上手く突いている。
イラストレータを志す学生さんにはオススメです。


実は、ボクも同じような本を書きたいと思っていたので、
「やられてしまっていた!」と落胆しているところなのだ





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