★電子書籍時代のイラストレーション

iPhone&iPadに引導されたスマートフォン・タッチタブレットのディバイス普及と出版&IT業界による電子書籍販売システム構築。さらに、作家やコンテンツホルダーたちの起動。「2010年は電子書籍元年」は、これら3拍子がそろってようやく実現した状況です。


著者もiPadを早々に手に入れて、電子書籍を利用しています。

今のところは、電子書籍に対するアプリの統一規格がないので、
アプリによってページめくりの動きや、栞・マーカーの有無などバラバラで、
快適なモノとそうでないモノとがあります。

人によっての本を読む環境にもよるでしょうが、
著者の環境では、
電子書籍はすこぶる快適と言って良く、文庫や新書はともかく、
単行本などは出来ればもう買いたくないと考えています。

イラストレーターという立場からすると、電子書籍への移行は、
音楽楽曲の販売がレコード→CD→MP3になるに従い、
ジャケットカバーの仕事が激減したように、
本の装丁で買うというユーザーが減るわけですから、
カバーの仕事に関しては、減ることは目に見えています。

しかし、挿画はどうでしょうか?
電子化により紙面の物理的な制限がなくなりますので、
コスト的な問題を除けば、
静止画はもとより、動画・リンクを挿入することで、
結果、一つの書籍に多くのビジュアルを掲載することが可能になります。

そう。
イラストレーターの仕事は増えるのです。
おそらく。

しかし、単純には喜べません。
スピードとコストの問題があるからです。

ディバイスは日々進化し、電子書籍供給システムは急速に整備されています。
一旦、配布システムが整ってしまえば、電子書籍はリアル書籍よりも、
より早いサイクル・より安い価格で出版されます。

問題は、イラストレーションを供給する側のシステム。
イラストレーターが作品を制作するペースは、
ディバイスの進化のようには上がりません。
そこに追いついていけない状況が容易に予想されます。

そうなれば、自ずと作品のクオリティは下がり、
学生や素人が描くような作品が流通する状態になるでしょう。

電子書籍分野に関しては、
大量のコンテンツをより安い価格で供給できることが、
イラストレーターの必須条件になって来るのです。

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